LinuxWorld休刊/特集挨拶(2007年1月号)

こなさん、みんばんは。いきなり古い挨拶でスタートする西村です。「大学に入ったらパソコンを買い、そしてシーケンサーソフトを作ろう」と心に決めたのは高校時代。大学に入ってせっせとバイトして買ったのは初代98NOTE「PC-9801N」でした。通信ソフト「WTERM」とともに使っていたのがsed,awk,そしてASCII社の「MS-DOS SOFTWARE TOOLS 基本セット32」(略称TOOLS32:この32は32bitではなく、32個のコマンドという意味)に収録されているコマンド群でした。購入したきっかけは、おそらく、ASCII社の「MS-DOSを256倍使う本」だったと思います。

TOOLS32に入っていたのは、ls、cp、mvなど、Linux環境でおなじみのコマンド達。したがって、私は、UNIX系OSを使う前からのGNUコマンドユーザーだったというわけです。このTOOLS32は私のパソコン人生を確実に変えました。基礎を作ったとも言えましょう。コマンド環境にストレスがない。使いこなす快感。そして、テキスト相手ならなんでもやれちゃうぞ!という感覚。TOOLS32のコマンドは日常で普通に使っていたので、当然、会社(DOS/Windows使用)にも持ち込みました。Windows環境でもしつこく"DOS窓"を使い続けているのは、このTOOLS32で育ったからに違いありません。

TOOLS32のコマンド群は主にUNIX系OSで使われているのだと知ってからは「いつかはUNIX(っぽい何か)だ!」。そして、初めて購入したAT互換機IBM PS/V Master 486DX100にはPC-DOS/Vと一緒にSlackwareをインストールしました。あの頃のLinuxカーネルはまだバージョン1。マスコットはペンギンではなくカモメでしたね。この486DXは働き者で、その後、Warp+Windows3.1、そしてWindows95も追加インストールしていました。EPSON386Mと98NOTEで"家庭内LAN"、そんな混在環境の中「そのとき使いたい/作業内容に適したものを、便利に楽しく使えば良いのだ」そして「やり方は1つじゃない」ことを肌で覚えたのかな、と思います。

そうしているうちにいつのまにか15年あまり。2000年問題もなんのそので21世紀を迎えました。21世紀のはじまりはLinuxWorldのはじまり。思えば、LinuxWorldとは創刊号からのおつきあいであります。雑誌も読者の方々も成長したというのにわたしだけ成長できてません。ヤバイです。でも、熟練者にとっても初心者にとっても、"使い手がある"のがLinux。これからもずっと開かれた世界であって欲しいと願います。(2006/10/13)